「Yellow Ochre Sand」
SWITCHED-ON LOTUS
平沢進
ある海での話だ。
その地域では、
火葬後の骨を血縁関係の人が
自らの手で洗う洗骨という文化が存在した。
比較的最近までの話だ。
骨は即座に世界の人々に白を連想させる。
しかし、白い骨は今は亡き文化により、
誰かの手と清らかに澄み切った
川上の水を添えることにより
生まれ奏でられる色が白である。
手を加えない骨は
黄土色となり、
時間をかけて砂浜と同化していく。
清らかな瑠璃色の浅瀬を前にし、
清められなかったことを恥じ、
砂と淡い影色に
身を潜めているのだろう。
その影を大きな蜘蛛の巣と
ガジュマルの木が包み込み、
永遠に守護し続ける。
一見、玉座は空席。
その空席へ姿勢正しく光が落ちている。
光は時間をかけて
身を潜めることもあれば、
強い影だけを残し、
ただ無言で一筋の光となった
灯篭もある。
灯篭は光を灯し、
その光が形亡くも
淡く瞬いている。
人は無数の光へ想いを馳せる。
君の心を灯し、
織姫と彦星のように
定期的に離れて揺らいで、
傷付いて、
日常がやってくる。
僕たちにはいつまで
この日常があるのだろう。
たった今感じるこの香り、
空気、不甲斐なさ、
悔しさ、愛おしさ、切なさ、
明日が無くなるかもしれない
不安からの非日常への回帰。
そして今貴方はここにいる。
いつまでこの心の那由多で
多面的な瞬きをトーチリレーし、
分かち合えるのだろうか。
ふと目が覚めたとき、
僕は光だった。
オリエンタルな
パステルカラーは万国共通で、
遠くからキャラバンたちが
音を奏で始めた。
夢見心地の淡い世界の向こう側は、
たった一つの
恍惚な輝きが待っている。
常に光は君を灯し、
如何なるときも包み込む。
君が僕の光を消し、
影や休符を落としても、
気配を消し、
君を想い続け、
嫌われないようにする。
小石 小石
刹那 刹那
小石 小石
刹那 刹那
素直を通せなかった時を懐う。
僕は常に、いや永遠に君と有り続ける。
もし君が光になったとしても。