2024.12.22 Vol.22
My Favorite Things Vol.2(Music)


心の灰黒霧が徐々に浄らかと移り、
重心を変えずに
座標を高速移動させている。

僕は座席表を
今だに理解出来ておらず、
特にDとEを非常に良く間違える。
某日も間違えてしまったことを恥じたいが、
頭の悪さを何処で
チューニングすれば良いのかが

判明するだけで良いのに、、



さて、My Favorite ThingsのVol.2では、
今年特に印象に残った曲に触れていく。
1番音楽やってそうな人
( そこまで本気でない人)の
感じが
1番出る記事なのではないだろうか。

とは言え、僕はそこまで
音楽を聴いていない。

かなり偏っている前提での
メモを綴ることを
念頭に置いて頂きたい。







Departed
長谷川白紙



これは非常に良く聴いた。

今年リリースされた
日本人アーティストの作品で

間違いなく1番である。

フリージャズ解釈にノイズもエレクトロニカも

歌謡もポップスも歴史をジューサーのように
クラッシュさせているのが良い。

音楽の日本史と世界史をサマライズしている。

僕が平沢進さんを
非常に敬愛していることが

大きいのかもしれないが、

長谷川白紙さんは今の世代の
平沢進さんだと確信する。

今、長谷川白紙さんを聴くことが、

数年先の日本のカオスシーンの先端を
先取りすることになるだろう。




優しい夜の過ごし方
加藤和彦



これからの生き方や
人としての在り方、美学も含め、

今年は現在進行形で
加藤和彦さんを追っている。

それまでフォークミュージックにも

ニューミュージックにも通過しなかったが、

全ての合点が加藤和彦さんに集まっている。

ボーカリストとしての氏も好きなのだが、

楽曲がとても優しく暖かみがあり、

安井かずみさんの詩も相まって、

とにかく心地良さでしかない。

加藤さんの楽曲ならいつでも聴ける。

自分の今の関心と
生き方の大きな指標となり、

今後も追い続けていく存在だろう。






BIRDS OF FEATHER
Billie Eilish



今年リリースされた全世界の楽曲であれば、

間違いなくこれが1番だった。

ビリーさんがメランコリックな
旋律で奏でる声が、

これだけシンプルに
体を揺らせるトラックで成立する

世界観に感銘を受けた。

これからの時代を背負う曲であるし、

非常に練られたサラウンドは

アンビエントのように丁寧でセンチメンタルな

サウンドスケープに感じる。

この楽曲を分かることが世界との感性の交信

(特にアメリカにおける
フォークミュージックへの

回帰のシーンと比例して)
だと思っている。

それをビリーアイリッシュさんが

世界に示したことがマスカルチャーに於ける

ポップミュージックの可能性を
より広げたに違いない。






Add Up My Love
Clairo



今年はアメリカのClairoさんの年でもあった。

ピアノのトリオ編成から成る楽曲は
温もりある優しさで、

どんな時にも綺麗にこの楽曲が収録された

アルバムの温もりを感じていた。

歌声も心地良く、
少しパワーポップのように

感じる強さも潜めているのも良きである。

アメリカは早くも生の揺らぎのある

サウンドへの回帰が
世界の何処よりも
ひと足先に早いのかもしれない。




Hinoki Wood
Gia Margaret



書斎のBGMでは大概コレが流れていた。
実はMargaretさんもアメリカであった、、

ピアノジャズとアンビエントを
内包した楽曲は

全方位にイージーリスニングの
印象を優しく届ける筈。

ループトラックを意識したかのような

楽曲やアルバムの佇まいが、

ストリーミングナイズドされた3分以上の曲を

基本的に聴かずに
飛ばして聴く今の時代を感じる。

今年はアメリカのサウンドに
惹かれているのかもしれないと、

筆を取りながら思う。




you've changed your mind
Duskus



イギリスの若きプロデューサー

Duskusのトラックにもやられた。

前述のトラックたちもそうなのだが、

エモーショナルかつメランコリックな音感触を

素直に出していながら、

エレクトロニクスという
否肉体的な機材やグルーヴから

有機質が放たれていることに
深い感銘を受ける。

ヨーロッパのスタイリッシュで
ダンサブルな音楽が
大変好みであり、
常に追ってしまう音である。




COLORS
P-MODEL



僕が思う最近のdrowsinessの
サウンドに一番近い世界が、
この頃のサイバーパンクな
エレポップスタイルである。

福間創さんと平沢進さんの共作が
特に好きなのかもしれない。
(ASHURA CLOCKも
大変良きなので、こちらにも載せる)






コロナウィルス前夜から、

一番感銘を受けているのが
平沢進さん周辺作品であり、
実はライブも極力足を運んでいる。

ライブでの妻が耳が痛いと言うくらいの
ゴリゴリのインダストリアルっぷりも
大変良きである。

さて、当曲COLORSは
インスト版を聴くと明確なのだが、
サビが完全にアンビエントポップかつ、
サウンドに揺らぎがある。
片耳で聴いて頂くと分かりやすい。

この頃のP-MODELを好きだという方には
未だ対面でお会いしたことないものの、
地味にP-MODELや平沢進さん好きを
密かに公言していると、
意外な方とこの話題で盛り上がれるものだ。




Town Crank
Clark




Clarkのアルバムも非常に感銘を受けた。
しかもトム・ヨーク氏が全面参加し、

歌と爆発力を惜しむことなく
認めたクリエイション。

この作品の良さを
分かち合える人にも会えずも、
弊チームに多大な助力を受ける
サウンドプロデューサーのT-AKさんから

「今のClarkを筆頭とした
エレクトロニクスを分かることが
世界のエレクトロニクスを判ること」

と言われて以来、
僕は言葉に出来ない感覚を
秘密裏にずっと
込め続けていたのだと思う。




Mixed Signals
Skrillex, Swae Lee



この曲に出会って、人生が変わってしまった。

北堀江のSmithsのオーディオ環境で
聴いたコレが忘れられない。

そのときもT-AKさんと
オーディオチェックに行っていたのだが、
T-AKさんのサウンドチェック音源がSkrillexで、
この曲が良いと言ったときに

「drowsinessさんセンス良いですね」

と言われたことを忘れていない。
そのくらいに衝撃的なトラックであった。



Skrillexと言えば、
ダブステップだという
一般理解へ傾倒する。

ただ、申し訳なく思ったことを書くのだが、
日本人はほぼ海を越えたシーンの音楽を聴く層が
ストリーミングユーザーの3%くらいである。

そうなると、最新アルバムを聴く人は、
もっと少ないということだ。

つまり、Skrillexのサウンドの認識は

ダブステップとEDMが
大多数のマス解釈という推察が浮かぶ。



引用:ビルボードジャパン
「洋楽が聴かれなくなった?

 “JAPAN Hot 100”
チャートイン楽曲の国別構成」

https://www.billboard-japan.com/special/detail/4382



しかし、Skrillexは
そのイメージを大きく刷新し、
ヨーロッパの超一線級と交える
サウンドプロデューサーとなった。

そこにFour Tetも加わる。
Four Tetも今が一番カッコいいのだ。









最後に。

こんな音楽がストリーミングアプリで
一気に楽しめてしまう今が幸せだ。

選択肢が多すぎる今、

全てに於いて行動という
アクションを起こさなくなり、
ただ盲目に成りすぎてしまう。



例えば、僕は学生時代から
祖母の影響で演歌を嗜むが、
演歌という言葉を聞くだけで、
即座に「古い」と思う方は居る筈。

しかし、演歌も時代と共に変化し続けていて、
直近での新浜レオンさんのように
ポップスとも迎合した歌謡スターの
ステップを駆け上がったり、
敬愛する福田こうへいさんのように、
王道かつ本格派を直走る愚直な良さもある。

どのシーンも「最新」を刻み続けているのだ。
そこに興味を持つか持たないかの差だろう。



最新を知ることで、
過去を知り、
歴史を知る。



Now and Thenのタイムラインの
対比を楽しむことも
一つの文化の嗜みに
繋がっているのかもしれない。



できる限り、世界の最新に関心を持ち
文化を喫食かつ貪る年末も悪くないのでは。






アニソンかつJ-POPは職人の知と技の結晶体。