drowsiness

Japanese Guitarist/Composer

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ALONOAR 
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2024.9.3 Vol.8
「Best Eclectics」

drowsinessです。

東京滞在が本日で終わるため、
移動中の車内からの更新。

今日は涼しいとの予報があったが、
地味に嫌がられる暑さ。
ポリエステルも
汗を受け付けない。

綿は汗を受け取るものの、
許容量は限られている。
人間の心で受け止められる
範囲内と同じ。

読者の皆さまは
どんな1日を送るのだろうか。



僕は毎日反省しかなく、
悪夢に魘される日々。
最近も絶妙な断片が繋がり合い、
連絡先を知らない
小学校の同級生と話した。
最近会って、物凄く至らない所を
見せた現場に居た方から
『謝ったほうがいいよ』とも言われた。

内なる心の声は協奏し、
リフレイン。
ただ、今回は謝らず、
内に秘めて置く。


さて、今日は何を話そうか。





今日のBGM①   
                                                                                                  My Way  - Nina Simone



『楽しさこそ蜜壺』

人生初の高田馬場で1人飲みを終えた僕は、
歩いて帰ろうとしていた
場所へ歩くのを躊躇していた。

夜風は心地良い。
ねごとの『凛夜』のサラウンドし、
秋の訪れを想起させる。
しかし、明日も朝が早い。
結局タクシーへ乗り込む。



ピンが頭に立ったときに、
タクシードライバーさんに話しかける。
鹿児島から出てこられた方だった。

僕は何も職業も日々の具体に
付随する話をしていない。
しかし何故か会話が心地良い。

視点も独特で、
何かを信仰していると思いきや、
極端な信仰者を正すのを好むという。
また、ずっと虐められていたという。

これは当たりだ。

ただ、一つ心残りがある。
タクシーの料金メーターが
表示されていない。

即座に幾つかの思考を張り巡らし、
所謂ぼったくりタクシー、
いや『えんとつ』の方という仮説を立て、
念の為、身の危険に備える。



目的地に着く。
そこで運転手さんはゲラゲラ笑い出す。


『話が面白すぎて、
メーター入れるのを忘れてました』


深夜3時。
道中の会話も相まって、
互いに笑いが止まらず、
少し時間が止まった心地。

大体の料金は分かっていたのだが、
結果的にほぼ無料のような金額で
ホテルへと帰る。
しかし、帰り際にほぼ想定と
同額の領収書を受け取る。

この日、ある大切な方のプレゼントを求めに
少し奥まった場所へ足を運び、
去年もお世話になった店長さんと
暖かな心を通わしたばかり。

妙な体験をした僕は、
一旦CPUを落とす。





『通わせる感性』

ゆったりとした朝を迎え、
目的地へ向かう前に
寄り道をすることに。
其処へ向かうために
タクシーを配車する。

とてもお人柄の良さそうな
ドライバーさん。
目的地を伝えると即座に

『〜店と味が違うの分かりますか?』

とんでもない情報に、
この方が料理関係の方だと悟る。

僕がこの辺りの好きなお店を
3つ挙げると、
大変喜んでらしていた。



その運転手さんから
職業を尋ねられる。
運転手さんから職業を尋ねられるのは
初めてである。

音楽をやっていると伝えると

『そういうことをやっている方ですよね!
そう思っていたんですよ』

という反応を頂く。



目的地に近づく。
運転手さんは元々腕のある板前で、
僕が見ていたりしていた番組で
料理人対決にも出演していたらしい。

僕も時折食の文脈で
メディアに出ていたことを伝えると
喜んで下さっていた。

最後に在るお店の人気メニューを
確かめ合って終了。

10分に満たない乗車だったが、
名残惜しい乗車時間だった。




今日のBGM②
My Favorite Things - John Coltrane




『豊かな反射光』

仕事の打ち合わせと視察を兼ねて山形へ。

今日は某省庁の来年度の
取り組みに対しての
意見と所管を伺いたいと、
間を取り持つ横浜ベイスターズファンの
Kさんからの相談で足を運んだのだ。

その際にKさんがホテルまで
用意して下さり、
山形市内の案内含め、
大変良き計らいをして下さった。
山形への印象がグッと良くなったのだ。

そこから日を置いて、
プライベートで山形へ足を運んだ。
その時の話である。




その時、仕事でメールを送った瞬間に
電話がかかってくる用件が数十回あり、
現地でご挨拶する方との面会とホテルの往復で、
あるタクシーの運転手さんに会った。

タクシーを毎回手配するのは
面倒なので、
首都圏以外では
基本的に身分を明かしたうえで、
連絡先を交換し、
その滞在期間中は基本的に長い移動を
その運転手さんに
お願いすることにしている。




その運転手さんには
疲労困憊した自分も見せつつ、
ある訪問先の裏話や
地元の美味しいご飯屋さんにも
連れていって頂き、
ランチもご一緒した。

色々な温泉にも詳しくなったし、
山形では外していけない場所、
また宿から近い隠れ家も教えて頂く。




ある仕事のピークの最中、
僕は運転手さんにご案内頂いた
山形市内の人気焼肉料理店のカウンターで
味がややしない状態での喫食。

ピークが過ぎ、
店先で待つ運転手さんから

「仕事は無事に終わりましたか?」

この優しい佇まいに疲れが癒されていく。

実はその運転手さんがその焼肉店に
足を運んだことのないことを思い出し、
その焼肉店で買えるハンバーグを買い、
この滞在期間中のお礼も兼ねて渡した。

そのことを運転手さんが
とても喜んで下さり、
その笑顔が今でも忘れられない。



それ以来、
僕は山形に行けていない。

その後山形市の繁華街のバーでの
朝までの一夜も、
とても愛おしく、
サービスしてくださった
山盛りのポテトサラダが
忘れられない。

山形市。
地方と中心地の利便性の
相互作用を保つ街。

山形へ行く時は最初に必ず
その運転手さんへ連絡する筈だ。




『猜疑心と好奇心の更新』

一時期クレジットがあまり出ない形での
テレビ出演が相次ぎ、
2年連続で
祖師ヶ谷大蔵のスタジオへと
招かれた。

そして同じ時間に、
某国民的芸人さんの
番組の収録が行われていた。

プロデューサーさんが
前回の放映時のコトを評価して下さり、
比較的番組のキモとなる箇所での
出演を依頼されたのだ。



待ち合い室へ通される。
其処では様々なゲストが交流していたが、
僕もそこそこに交流させて頂いた。

その中には
『僕は関わって貰えないだろうな』
という華やかさを持つ方々も多かった。

撮影は無事に終了。

僕が出るパートの前に
番組の企画が成立せず、
結局番組には出ずに
帰宅することに。



スタジオから駅まで距離があるので、
配車アプリでタクシーを呼ぶ。

収録前からサウナと
アフリカの中古車市場のコトで
盛り上がる紳士なSさんと
一緒に帰ることになるが、
スタジオ前に華やかな淑女2人が居た。
淑女達もタクシーを呼んでいるようだ。



僕は即座に
『良かったらタクシーを呼んだので
相席しませんか?』と言い、
淑女達も同じタクシーに乗った。

僕は助手席に座り、
何時ものように
運転手さんと会話を交わす。
前のお客さんの行き先が
八王子だったということで、
『僕は地元が八王子なのですよ』と話す。

『実は私も地元八王子なんです』

まさかの後ろに座る淑女と
地元が一緒だった挙句、
同い年かつ、互いに共通の同級生と
義務教育を過ごしていたことが判明。
車内が同窓会のように
爆発的に盛り上がってしまう。



駅に移動した後、一緒に電車へ乗る。
初めて会った筈なのに、
さっきまで会話どころか
目も合わさなかった方々と
連絡先まで交換するなんて...

まさか自分の猜疑心を超えて
話しかけた先の
タクシーで仲良くなるなんて。

其処でお会いしたSさんは
今サウナで世界を飛び回り、
時折やり取りをするし、
淑女のお二人の投稿も
欠かさず見ている。
今だに皆んなが相互フォローし
投稿を見ていいねを押し合うのも良い。

全く違う背景が繋がった先に見える世界は
こんなに楽しく明るいのだ。






これは全て僕がタクシーをキッカケに
起きた実話である。

元々祖父がタクシードライバーで、
多くの逸話を聞くことも多く、
何かと親近感があったのだ。

良い話題も途轍もない話題も聞いている。
結論を言えば、
人の光と闇を乗せているからだ。

実はこの話題以外にも
僕のタクシーでの逸話は絶えない。




今回は短編のエッセイのような
テイストで書き記してみた。

中学校の頃、携帯小説に感化され、
携帯電話のメールの下書きへ
行ったことのない
女性とのデートを書き記していたり、
新年にlivedoor blogを
面白半分に荒らされたことも
記憶に新しい。

音楽を聴いたり楽器を触るよりも、
意識的に文章を書くことの方が
圧倒的に歴が長いのだ。





今日のBGM③
涙のステップ - 須藤薫



高速で駆け巡る車窓。

東京という非現実から
新天地という現実へ逆再生、
いやタイムパラドックスしているのかと、
比較的素直に受け止める。

僕の荒んだ心も体も戻り、
色素も体内も自然も酸化した体も
意図して常時、弱アルカリ性へ還れる。

東京では進んで
酸化を受け入れているのだ。



左手から夕陽が車窓と中和し、
粒立ち無く円やかな木漏れ日となる。

角度も変わりつつ、
理想となる光量と光質に落ち着かない。

帰宅繁忙に天候までも沿うなんて
人間の主軸は我侭で終止徹底と来たか。



その夕陽を眺めながら、
理想たる深く腰がかけられる
薄墨のバスタブに注がれた
ローズの不感湯へ身を沈めたい。

ローズ、オレンジブロッサム、
キンモクセイ、ラベンダー

の何れかを纏い、
好みの飲み物と氷を通わせて、
ひたすら知の探索を続ける。

それが僕の飾らない現実。

さて、次はどんな憂鬱を
奏でるとするかな。

脳内のイメプレを夢遊へ放つ。



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