2025.7.1 Vol.52
「Blue : Sphace (:)Paene Insula」



33合目の7月を迎える今は、
然程の灼熱ではない。

とはいえ日に日に高鳴る暑さ、
付随する心理的負荷の避暑地を
電子回路を経由し秘書に求めるが、
「もう少しで用意しますから」とのこと。



独楽を幾つかの〼へ不規則怠惰に散らす。
分散における好都合は何も無い。
現実に向き合わされる
お盆休みという心理的な灼熱地獄。

本当の秘所ですら、
悲劇の長蛇が連なり
悲壮を浮かべざるを得ない。
その連夢を浮かべる悪夢からも
退避せねばならぬ。
思考と本体を個別に冷
静慎重な永久機関へ閉じ込めたい。

日常における暑さと
商業施設の大げさな冷空調は、
比較的自然由来のウェルビーにおける
アイスサウナでしかない。




静寂を知らぬ規律性高き
携帯電話のアラートにも嫌気は程々に。
レトロンの粒子の結晶体を大切に扱いながら。
しかし、レイレトロンと称した
光合物を持て余すのは、
近年の常套手段となりつつある。

レミレスティヴな繊細さを持つレイレトロンを
回顧懐疑的なNova 「Lotus」を模す。

αを経由して、灼熱坂を駆け下りていく。
見慣れた坂から見下ろす景色も
変わらずの新緑とbétonへ陽炎を和えている。
もう暫しであることを悟り、
全ての煮凝りを斜面を沿って溶け流していく。
そして人目を憚からぬ滂沱の汗を流し、
自律神経を急激に整えていくのだ。



君の写真を時折見るたびに、
君が云った言葉を思い返す。
時間はもう戻らない。
君を取り戻せない。
自分の意識を悔いることも過去の話。
もう整理の付いたincenseのような
儚げな過去が還るのは、
あたかも記憶の循環における
盂蘭盆会の風情。





























出入りのある生き続けるリビング。
色々な諦めを込めながら、
通信と返信を謝絶する。

比較的誰にも逢わない日々を樂しく思う。
メゾネットに住めるのなら、
1Fに会いたいと思う人が稀に来て、
光も気配も音もしない
2Fに居れるのがいい。
でも抱き枕の心地だけが欲しい。
其れに脈音がするのだけは避けたい。






















名残惜しさすら残させない
近距離へ高速に座標を移動させ、
新幹線で人氣の無い
某所へと足を運び、数泊する。
何も目的は無い。ただホテルに居て、
静かに過ごしている。
スイッチも綺麗に落としている。

歳を重ねて、独りでいることの良さを
犇々と感じる。
独りが一番創作的であり、
何かへ期待や担保を求めても無駄が出る。
思考と中心の辻褄と解れを結ぶ内職は
人に見せるものでない。

知らぬ人々との会話での綻びや
矛盾を他人の縫間隔で結ばれるのが億劫だ。
また解いて思考を整理した後、
自分の間合いで結ばねばならない。

夏場といえば、
遮光された朝5~7時に
最も尊き幸せを感じる。

即座に含む飲み物は
そこそこの温度の水か、
冷えたスパークリングソーダを。
勿論未開封。
グラスに氷を入れて含めれば尚良し。





何気ない今日にも雨が降った。
そんな日を「外に出ない意味のある幸せ」だと思い、
暗室へ籠る大義名分となる。






そこで内なるレミレスティヴな
レイレトロンを紐解くと、
暗室にも関わらず未発光な螢を
眺めるような朧げな多幸感に包まれる。
その多幸感にシナプスを
通わせることが最も贅沢である。

暗室における秘所にて
「次に用意しているハルディンへ」と
案内される。
折角の多幸感への惜別の名残惜しさも
早々にページが捲られていく。



シンフォニーへ休符が齎された。
身分相応で消費期限が
何時かも分からぬ
有機的なシネマスコープへ
昨日のSceneをラフスケッチで
焼き付けておく。

比較的、独楽のように
フィルムは回り続けている。
クレプスキュールな揺蕩を
微睡ませながら….