Vol.59
「Kinetoscope with
Falsified Reminiscence Compositions
Floating in the Air」
座標を急速に推移させている。
気付けば東京。
意識と疲労感を現実へ沿わせれば、
もうそこにいない。
86400枚が連なる
604800枚の旧射式静止画のポートフォリオは
タイムラグを乖離改竄し、
真後から散り散りとなり
跡形も無く。
今、自分が604800枚の何枚目であり、
その裏の冥利を実数として連なるとすると、
3.65783e11枚が実在することに成り、
限りなく無量大数な水平線を演算掲載する
無限の万里のキャラバンを形成する。
そのキャラバンの中に、君を見る。
猛暑の中の東洋摩天楼式は
地続きを限りなく
ホロエスケーピティクな残映を目に宿す。
現実で無い君を追う
僕の海馬の処理は
誰かに改竄されていた。
意識を少し上に移す。
君は綺麗に消えていた。
微かな余韻を手掛かりに
パラダイムな86400枚から君を探す。
時間を経る度に、
君はより連複される旧射式静止画へ
身を隠す大義名分が出来る。
そして僕も自分が一体
何をしているのかが判らない。何も。一切。
何を追っていたのかも。
主観的な視点から雑踏を目線で舐めせば、
無関心を貫く灰色の群像に
色味を含んだ君を見つけられる
幸運と希望が入り混じる。
その仄かな幸を心理体入させ、
またすれ違って行く。
そして何かを群像に求めていく。
記憶の連蔵に蓄積される
色群像の宝物庫も日々細かく目減りし、
蓄えを不安視する加齢とあがらうのだ。
限りなく無になった
宝物庫には空間がある。
誰かを、何かをそこに納めたい。
ふと気付くと想像以上に広かった間へ
呆気絡んだ爽快感が覗き込む。
しゃがみ込み、何も無くなった間を眺め、
爽快感が一時解釈として
過ぎ去った後の虚無感に誘われる。
価値観が変わったからだ。
段々とグレイスケールしていく
奥間の壁に刺さり光る先を見る。
そこに、唯一忘却されなかった
無垢な君の一枚が止まっている。
1.46313e13枚の中から
探さねばならない途方の彼方から、
君が選んだ1枚の刹那が其処にあったのだ。
君の始まりは1枚の写真から始まる。
そして、軌跡の夢連帯を駆け上がり、
全ての矛盾が饒舌に練り込み
連炎の如く高らかに底知れずに
諸悪を焼却していくのだ。
そして、Timelineが始まっていく。
高らかに昇華された君を横目に、
僕の宝物庫を眺め、
幾許かの何かに目線を落とす。
幾つかの懐かしき1.24366e13枚の中から、
僕の主観での君を探すことに専念する。
幸い、幾つかの写真を掬い上げた。
そして大枠を悟った。
君は綺麗な片道の彼方へ
居なかったのだ。