2025.9.19 Vol.61
「The Emerald Beginning of Qualia Slope Part.2」



朝が粒立ち、気泡の泡(Froth)の終始を
連符させていく。

何度かの外出を繰り返し、
日々一刻と近づく夕刻の門。
逆算して十を経なければいけない夜のために、
翌日の初頭のクオリアを
傷つけてはならない。




クオリア坂は夕刻の門の訪れを鮮やか鮮明に表す。
通学路を子ども達がすれ違い、架香が重なる。

幼少期から見た「世の中とのズレ」は
埋まることなく、
どれだけ自分を律しても、
ズレはとめどなく鳴り止まない。
その苦悩への自問自答が
ライフワークなのだとすれば、
つくづく人生を簡略的に捉えることも
出来かねない。



短略的に連ねるならば、
アウトローに成らざるを得なかった。
もう後戻りは出来ない故の見切り発車も多々あった。

繁華街や幾許かのコミュニティへの迎合を
遮断しなければ、
気付けない感知できないクオリアが
黔んでしまうことを恐れている。




ふと、思考の雑踏を潜り抜ければ、
周囲のクオリアのマイクロな
モールスへ多感を灯す。

幼少期に見かけた向日葵には
感化されなかったが、
道沿いに大らかに咲く
向日葵に勇気づけられる。

しかし秋を迎えるにあたり、
頭を垂れる向日葵。
日が暮れるとともに、
俯く穂華先は摂理として自然なのかもしれない。

空も独特なKaleidoを推移させていく。
時に重く幻想的。
悲しくてやり切れない日々に
空も同じく涙を流し、
痛さで紛らわしたいときに
降り注ぐ灼熱の日差。
ドラマティックなワンシーンのような
土砂降りに浸り歩く日。
その日の起承転結のラストシーンを飾るのが
空だからだ。



シオカラトンボやオニヤンマを
多く交わした夏の日々は、
赤トンボへ色味を推移していることに気づく。
近年は羽黒蜻蛉を見ることがめっきり無くなる。
見かけた地元の雰囲気が色濃く懐かしく思う。

幼少期からの自然散策は、
幸運の戯れの研鑽の始まりなのだ。
そして、今その戯れに酷く感謝する自分がいることも、
日周、週週、年週の周期の年輪を
感じざるを得ない。

この時刻に成れば、書斎も暮れ泥み、

比較的モノクローム周期の
年輪換算のCoreに近づく
この円衆期はとめどなく止まることを知らない。

唯一の約束は、タイムラインの周期の転覆後に
多感なクオリアの朝が確約されていることだ。
果て生まれる終始の先の
タイムラインと等しくである。











外の静寂が心地良さを膨らみ富ませ続ける。
時折の車、砂時計のアクセントのような
バスの音の規律性が程良い。

ベランダのチェアに腰を下ろす。
アイマスクを用いて
自己調律瞑想を施すこともあれば、
瞑想の助走を加速させるために
電子耳栓を用いることにより、
無音というノイズを調律することも暫し。

頭の過度な思考の終始の締日を
作るために発泡酒精を含む。
冷蔵庫には比較的決めれた位置に
決められた銘柄と本数が
管理出来ていることが、
然りげ無い心身のバロメータになっている。

ベランダを欲しがる猫と
時間を戯れることも暫し。
驚かされることのない連綿なる日々が続けば、
クオリアは保たれる。
多少の刺激や負荷も
クオリアの最大化には必要不可欠。

クオリアは申提の中心軸にて
睡眠時間を計測することが出来る。
その中心は痩せ細ったとき、
体が欲する睡眠は満たされたと推察する。
これはあながち間違っていないのだ。





























某日の最中、見知らぬ女性の家におり、
居場所も全く分からない場所に居る。

手袋を落とした女性に手袋を渡し、
彼女に勧められたオリエンタルスナックへ向かい
彼女と美酒を楽しんだ先の記憶が無いのだ。
タイムラインのクオリアが
著しく欠乏している。
体調の違和感は無い。

「起きましたか?」

8畳くらいの部屋で
和を好む彼女から声をかけられ、
僕は何も纏っていなかった。

(何故今そうなっているのか)

理由を探せど出てこない。

僕は起きていないフリをして、
彼女が何かを囁くと、
僕の胸元に紙幣を置いて
何処かに消えていった。



彼女が出かけたことを確認し、
部屋を確認すると、
和装の管理が行き届いた棚があり、
綺麗に桐の箪笥にラベリングされていた。

振り返ると、中学校時代の同級生のYがおり、

「お前、ついに彼女を見つけたのか。
何処で見つけたんだ?」

と激しく詰問され、
間髪入れずに不法侵入のような家宅捜索の勢いで、
面識のあるアナウンサーや報道陣、知人が
彼女の家に来る。

「彼女は長年消息を潜めていて、皆探していたんだ」

何が起きているのか理解が追いつかない。
ただ彼女と楽しくお酒を交わしただけだ。
ただ僕も彼女の雰囲気や質感を思い出すことに
レイテンシーを感じる。
いやレイテンシーを欲しても
追憶の最中なのか出てこない。
しかし、これだけには気づいてしまう。


「事件に巻き込まれたのかもしれない」











多くの記憶が曖昧に整理された
ある日の夢の資料室への鍵が見当たらない。

その記憶の続きに合致する夜を追うために、
今日も曖昧な夢遊の探偵を怠らない。

クオリアを整えど、これは酷く難しい。