2026.2.17 Vol.77
「Best Eclectics Vol.4」




某日某所にて

座標として可笑しい場所で
タクシーを呼ぶのがお決まり。
そして某所では必ずタクシーに乗る。
特に明朝にタクシーにお世話になることが多い。

GOアプリでゴールド会員になるほどに
頻度多く乗っていたタクシー。
仲良くなった運転手さんから
クーポンを貰うことも暫し。
そうではない別のモノを頂くこともあれば、
僕がお渡しすることもある。


タクシーには妙な魔力がある。
日頃の力学以上の負担と御心遣いをお金で買うのだ。


その逸話を、「Best Eclectics」と書いている。
とはいえ、内気な僕が喋りすぎてしまう
暴挙による逸話。
付き合って下さる大人との
マリアージュなEclecticsの徒然….





































Hにてタクシー乗車。

「おい、てめぇ順番守れや。この野郎」

運転手が前の隊列を乱した
某社運転手を怒鳴りつける。
其れは数分前から其処に居る僕にも
前後の人々にも明確。
しかし、その運転手さんのタクシーに乗るのも
妙な緊張感。
少し(ではないか)、とっぽい方だとは思っており、
その文脈で怖さを感じた
Tの御馴染みの仲良き運転手さんの事例があり
逆に仲良くなれるのではという、
底無しの推察が顔を出す。


「〜って知ってます。XXXのXXなんですけどね」


勿論知っている。
知らない人の方が珍しいのでは?
然し、彼女達が何をやっている人なのかは知らない。


「実はウチの息子がね、、
よかったらSNSフォローしてやって下さいよ」


実はとても有名人で、
僕の美大友達もフォローしている方だった。
某メディアにも取り上げられる世界的な人物。

先ほどまで怖かった雰囲気が
お子さんの話題で過度が取れている。
気付けば自宅まであっという間。
そして秘密のことまで教わった。

この遊びの伏線とタイムラインは既
に旋律の助走だったのだ。

















早朝の自宅からのタクシーは珍しくない。
この所作は普段のルーティンになりつつある。

今日は港に向かう矢先にタクシーをお呼びした。
服装の佇まいから会話を逆算考察することもある。
その日は猛烈に凍える寒さを推察しての
フルフェイスでの乗車。


「ヒートテックよりも暖まる
インナー知っていますか?」


まるで通販番組のような展開に
別の財布が緩んでしまう。
会話が温まった瞬間に港へ着いてしまった。
少し尾を引く名残惜しさがあった。









渋谷某日にて

大型複合施設渋谷ヒカリエには
多大にお世話になっている。

大事なディナー、ミーティング、遊びも此処。
鞄持ちをしていた頃に唯一会うことを拒絶する
今や有名企業となった◎会長との
現時点での最後のランチも此処。
その後に、会長が持つ
タワーマンションへ連れて行かれ、
人生始めてタワーマンションというモノを
体感したのだ。

そのヒカリエへの想いから離れて、
代官山付近に移動しようと試みたときに
タクシーが目を過り手を挙げる。

「お客さん、ミュージシャンか何かですか?
僕シンセサイザーが好きで、、」

いきなりモジュラーシンセの話題が始まる。
この若者、何者、、?

「お客さんの目的地、クラブですよね?
前に有名な人を乗せたことがあって」

普段そういうクラブには行かない。
あくまで待ち合わせの為である。

そういう話なら僕も微々たる身元を
明かそうということで
しがない6弦弾きと自白する。

その場でInstagramを交換して
都会の雑踏に互いに巻き込まれていく。
その後、少しInstagramでやりとりをさせて頂いた。







真面目さある八王子某日にて。

駅に着けば、必ずタクシーに乗る。
地元では必ず北口ロータリーの名物である
京王プラザホテルを見ながら、
斜め横の天気予報を見るのが日課。

京王プラザホテルは浴室がシックで
とても奥行きがあり、
薬局でバスソルトを購入して浸るのが好ましい。
(此処では敢えて、バスクリンの森林系な香り)
地元から消えゆく京王の名残を唯一感じられる場所。
京王八王子駅の駅ビルも今はもう営業停止で淋しい。
少し別荘のような非現実とも言えない
室内の広さも好ましい。
ベットのバランスもとても良い。
実家があるとはいえ、
僕は此処に泊まるのが好きである。


運転手さんには必ず

「地元も今日は寒いですね。
実は今日は◎から来ていて、、」

と言いながら、廃れゆく名残り惜しき商店街を
駆け抜けていく。

「福岡に住んでいるのですか?
私北九州出身なのですよ。
最近ここに来て、、」

もう会話が物凄く盛り上がってしまって、
アレコレあるない話。
地元八王子は福岡で言う
久留米から岩田屋を
剥がしたような場所という
絶妙な会話に理解がある。
これは福岡ではあり得ない言語解釋なのだ。

とても良い時間だったので、
端数のコインを全てチップに。
気持ちいい持て成しに
少しの謝辞を込めるのは
お節介かもしれないが、
迷惑料でもあるのだ。






福岡では目的地を伝えているのに
乗車時間を焦らされることも暫し。
同時に料金も想定外に嵩んでいく。
至って平常心で最後まで乗る。
最後に一言を伝える。



「僕、2ヶ月で大枠全ての道歩いて
覚えてるんですけど、
最短の道伝えてもいいですか?」







もんじゃ焼きを食べ、
ヘラを遊ばせてヘラヘラと
平片としていた明朝。

意図した交差点で綺麗に別れていく。
どうなるかは大人の都合。
其れを尋ねるのも野暮。
僕も僕で行きたい場所がある。
とはいえ、自宅くらいしかないのだが…

革底のローファーで雨上がりの深夜を
駆けていくことに深い後悔。
翌日までに保湿クリームを
塗らねば腐ってしまう。

変な場所でタクシーを捕まえてしまう。


「随分もんじゃ焼きの匂いがしますね?
楽しまれましたね?」


それもそうだ。少し特別な夜だった。
その一瞬は今もSmartphoneを通して繋がっている。
互いは明らかな異世界であるにも関わらず、
不思議なことに散り散りな何かが
綺麗に繋がってしまって、
其々に妙な親しみを感じてしまった。
最後に手を重ねた瞬間も未だ覚えている。
そして、珍しく酔いが悪さをする悪戯も重なる。


その日は言葉が出ず、
何時ものお礼だけ伝えて下車する。
とても印象的な言葉を言って頂いた。

図星である。

もう仕方がないので受け入れている。
お酒の酔いも相まって清と染み込んだ気がする。




相応でない異国某所の
深夜の刹那を思い出す。

溶けることを拒んだ潔さ。
其れはアートに反している。

それでも偶然に会ってしまったあの時間。
華やかな場所に居れば、
狂い改竄される波動の悪戯。

そんな姿を晒してしまう
タクシーという魔力も末恐ろしい。