2026.2.2 Vol.74
「The Emerald Beginning of Qualia Slope Part.14」




現を虚像と信じられた今日この頃も
パラダイムな誘惑を内包し、
否定を盲信し続ける事に、
現象という巨体な造網が生まれる。

睡眠の現の微睡みから現実へと戻されていく。
視界の現の浅瀬(Shallow)の
白濁とは定義されない透明を駆け抜けていく。










「起きてる?」






2日連続で会う人である気がした。
僕は2日連続で
同じ人に会うことを酷く拒絶している。
久しぶりの再開の饒舌さや多感さは、
翌日には衰えているから。

艷やかな髪線に目線を沿わせていけば、
同じく微睡む君が其処に居る。

僕は言葉が出せない。
比較的臆することを

「錯誤して」

知らない自分にしては珍しい。




「悩み事を聞いてくれる?」



君の目は純潤たる瞬きを保ち続け、
朝焼けの光香と綺麗に微睡んでいる。
彼女は体を少し動かしつつも、
目線を逸らさずに簡潔に



「私とだけ付き合ってくれる?」






何処かで会ったことのある君は、
仄かに存在を律していて、
遥か遠くヨタのような人。
決して憧れではなく、

「この人生で一切会うことはないだろう」

と思っていた人。

「比較的」興味も無かった。
ブラウン管の向こう側で見る君。
しかし何も知らない。
だが何故か君が隣に居る。

彼女に問いを求められる程、
僕も何も持ち合わせていない。
そんな需要すら無い。
寧ろ「僕が君を好きだった場合」、
僕が君にそういう言葉を委ねる
弱々しい立場をより明確にすることが
適切だったと思う。











その彼女の言葉以降、
記憶が抜けている。
彼女が横に居た感覚もない。
気付けば彼女の体温を感じることもない。





その事実にすれ違い様のある記憶が通り過ぎる。
前述虚像の可能性も拭えない。
ある君が放った言葉が
追憶からのめり込むように現れて来る。



「貴方の為なら、何だってするから。お願い。」



気付くと、彼女と何媒体かを介した会話の状況。
この状況のパルダリウム的線引きと幕引きが
分からない。





非現実な現実が前のめりになる今宵が怖い。
自分が起こした現実なのであれば、
意図して息を止めれば、
解決になると冥利な考察を
仮説で立てるのかもしれない。

スリリングと非現実のポリリズムの香ばしさが
アーティスティックだと賞するのなら、
果たして今は....?




ふと景色は変わり、日時のダイニングテーブル。
斜めに2つのクオリア坂を見ながら、
お気に入りの水出し珈琲を飲み、
一般的な体感での半日早いタイムラインを推移する。

夢の憂鬱の残像が抜けない微睡は
カフェインが代役として、
事実を明瞭にしていく。




関わりのない君の実像が
現れることが酷く不思議で仕方ない。
だから他愛も無い挨拶をすることもなく、
行きすれ違っていくだけでしかない。





9:00am JST FUK

向かいの通路から差す自然光が
変わらず愛おしくて仕方がない。
甘い非現実は常に寄り添う。


そして何も変わらず書斎に付き合う。
季節の巡りよりも早熟なピオニーを発たせ、
答えにならぬ虚像にアルコールを添わせて、
只只管と明言出来ないほどの
儚いサイケデリックで輪郭無き
擬的洋芍薬へ没入していく。